#04 * 歌子

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私は荷物をまとめて図書室を出た。 口元がにやける。だめ、止まらない。 学校をサボるなんて、初めてなんだもの。 「あら?どうしたの、うたちゃん」 台所にいたママがびっくりして出迎えに来た。 「どこか具合でも悪いの?」 <ママ れんらくもう どこ?> 「連絡網? 電話の下の引き出しにあるけど……」 <ママ おねがい 雪将くんにでんわして> 「いいけど……どうしたの?」 <雪将くんの いえのばしょ しりたいの> 「急にどうしたのよ……えっと、雪将くんって、苗字は?」 <ふるやくん> 「古谷さん……? 古谷さんちなら、ママ知ってるわよ?」 <え……?> 「あぁ! 雪将くんて、古谷さんちの次男坊くんね!  懐かしいわねぇ。そうそう、そんな名前だった!」 <どういうこと……> 「あら、覚えてない?  あなた、古谷さんちの子達と、同じ幼稚園だったじゃない。」
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