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同じ幼稚園……? 私と雪将くんが……?
「ほら、うたちゃんが年少さんの時、
年長さんのお兄ちゃんと、手つなぎ遠足に行ったでしょ?」
うなずき
「その時に貴方の手を繋いだのは、古谷さんちの長男坊。
覚えてない? 春雪くん。」
<はるゆきくん……>
思い出した。 春雪くん。
聴覚過敏の症状が出始めるよりもっと昔、
まだ私が、みんなと普通に話せていた頃に会った、
優しいお兄ちゃん。
手つなぎ遠足で私の手を取って歩き、色んなことを教えてくれた、
物知りなお兄ちゃん。
花の名前、草木の名前、季節の虫や、星の名前に詳しかった。
そういえば……
「春雪くんと遊ぶ時、よく連れてきてなかったかしら。次男坊くん。」
そう、いつも春雪くんともう一人。
小さくて、細くて、無口で、気弱な男の子が一緒だった。
いつも会話には入らず、「うん。」とか「ううん。」しか言わなくて、
卒業までの3年間、ずっと同じクラスだったのに、
ほとんどしゃべらなかった、男の子。
でも一度だけ、その子に言われたことがある。
「きれいな声だね」と。
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