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◆◆◆◆
「お疲れ様です」
給料日は明後日か……
財布の中を確認すると所持金は860円、まあ適当にモヤシなりパンの耳なり食っていればなんとかなるだろう
そんな事を考えながら俺は帰路についていた。
その最中に前方からこちらを凝視しながら真っ直ぐに迫る髪の長い女を見つける、展開としてはホラーだろうか、彼女のいない健全な男子の身としてはラブコメを所望したい。
そんな事を考えながら歩いていると突然女がケタケタと笑いながら包丁を取り出す、残念ながらホラーの方らしい。
察するにこれは通り魔というやつだろうか、自分には縁の無い物だと思っていたが、実際に見てみるとなかなかどうして鳥肌が全身に満遍なく出て来るのを感じる。
即座に回れ右して逃げようとする、中学時代、体育大会において不動の三位と呼ばれた微妙な脚力を可能な限り活用して逃げようとする。
恐怖で、ではなくただ単純に叫べばすぐに息が切れる程度の体力しか無いことを自覚している為、一言も発することなく逃げる。
そして十数秒で追いつかれ、背中に衝撃が走り、力が抜けて倒れる、流石に三位ではダメらしい。
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