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「和也君!離れて!」
杏奈から大声でそう言われ、慌てて仰向けに倒れた鉄の巨人から距離をおく。
見上げると、鉄の巨人の上付近のまだ崩れていない二階の床から杏奈が見下ろしていた。
直ぐ様、起き上がろうとする鉄の巨人を食い止めるために、杏奈の掌から凄まじい勢いで生み出される水が真上から押し潰す。
すると、鉄の巨人が倒れたことによって出来た窪みには徐々に水が溜まり始めた。
水を流し続ける杏奈は、淡々とした口調で話し始める。
「大丈夫。日本はアメリカとは違って100ボルトだから少しビリビリとするぐらいよ。その代わり、このアパートは古いからおそらく漏電ブレーカーは取り付けられていないわ」
《貴様!》
「そう。あなた自体にほとんど害はないわ。運が悪くても失神するぐらいよ。でもその身に纏った機械の塊はどうなるかしらね?」
杏奈が、水を放つ掌とは逆の手を真上へ向けると。
仁と美沙は見計らっていたかの様に、コンセントに繋いだドライヤーを流れ続ける水へ向かって放り投げた。
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