急襲

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仁が越えた廊下の柵の上に飛び乗り、そのままもう一度足に力を入れてさらに上へ飛ぶ。 俺はアパートの屋根に降り立つと、腰から光刀を引き抜いた。 屋根の上から見る景色は、建ち並ぶ平穏な住宅街。 鞘と刀からは白い煙が噴き出し、体全体を包み始める。 『いいか?勝率が最も高いのは初めの一撃。故に、最大限まで硬質化させて攻撃を行う』 わかった。 この3ヶ月間。確かに喪失感によって、自分の強さに磨きをかけることはなかった。 しかし、ログインだけを行う僅かな時間かもしれないが光刀は心の中で自分の用途や形状、その場での判断などを隈無く俺に語りかけてくれていた。 持て余すことがないよう、少しでも俺が前に進めるために、徹底的に光刀は俺に教えてくれたんだ。 毎日、散々聞かされていたこともあり、光刀が言っている意味はすぐに理解できた。 『君が再び前に進んでくれることを嬉しく思うぞ』 持っていた光刀は、太陽の様に眩しい輝きを放ち始める。 俺は屋根を一直線に駆け抜けた。
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