急襲

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屋根の切れ目。足の動きを止めて、見下ろしながら敵の姿を確認する。 開いた視界。自宅の窓ガラスの前に、巨大な物体が立っているのが目に入ってくる。 “それ”は、窓ガラスから突っ込んだ太い銃口をちょうど抜いたところだった。 黒い鉄の塊。 アパートの屋根の高さよりやや低い大きさ。 見た目はおそらく5メートルほどで、雰囲気から人間味を感じさせない機械的な冷たさが伝わる。 その大きさには息を飲むほど、圧倒させるものがあった。 両脇に備わった火器からは硝煙が立ち上ぼり、それが腕だとわかるまでそう時間はかからなかった。 これまでに培った知識から、その物体が何なのか考えると、行き着いた答えはまさにロボットとしか言い様がない目先の対象物。 そう思ったのは、見た目は完全な機械なのだが、手、足、胴体、首、顔らしき形をしたものがあることから。 全身が黒色で統一され、頑強そうな胴体には機械的な装飾が様々に施されている。 姿からは、まさに戦うために動いているという印象を受けさせられる。 『相手がロボットだったとはな……』 俺は意を決して、敵を目掛けて屋根から飛び降りた。
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