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輝きを放つ光刀の柄を、支える様に両手で持ち、そのまま頭の真上に運び構える。
飛び降りる最中、敵の顔がこっちに向いた。
緑色に光る不気味な瞳が、突き刺す様な視線で俺を見る。
「ああ゛あああ!」
急激に重みが増していく光刀。
硬質化が始まった証拠だ。
支えきれない重さから、力には頼らず柔軟性を活かして敵を斬るための準備を行った。
「──!」
その時、敵の胴体部分の前にあたるアパートの一階部分が爆発を起こす。
敵の胴体に直撃する拳の形をした水。
杏奈は一階の家に侵入し、敵が見えない位置から攻撃をしたんだ。
敵は水圧に負けて、大きくバランスを崩す。
『よし。このまま行けるぞ』
構えた光刀。身を守るための白煙は、硬質化のために刀身に集められている。
このまま敵を真っ二つに切り裂く。
あの硬そうな鉄の塊を斬れるのだろうか?
そう迷いが生じた直後だった。
「なっ!」
敵の頭が割れて、中から人の大きさほどのハンマーが姿を現す。
『迷うな!行け!』
一瞬の怯みが斬る動作を遅らせ、頭から飛び出したハンマーは俺より先に攻撃を行った。
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