急襲

13/27
前へ
/27ページ
次へ
輝きを放つ光刀の柄を、支える様に両手で持ち、そのまま頭の真上に運び構える。 飛び降りる最中、敵の顔がこっちに向いた。 緑色に光る不気味な瞳が、突き刺す様な視線で俺を見る。 「ああ゛あああ!」 急激に重みが増していく光刀。 硬質化が始まった証拠だ。 支えきれない重さから、力には頼らず柔軟性を活かして敵を斬るための準備を行った。 「──!」 その時、敵の胴体部分の前にあたるアパートの一階部分が爆発を起こす。 敵の胴体に直撃する拳の形をした水。 杏奈は一階の家に侵入し、敵が見えない位置から攻撃をしたんだ。 敵は水圧に負けて、大きくバランスを崩す。 『よし。このまま行けるぞ』 構えた光刀。身を守るための白煙は、硬質化のために刀身に集められている。 このまま敵を真っ二つに切り裂く。 あの硬そうな鉄の塊を斬れるのだろうか? そう迷いが生じた直後だった。 「なっ!」 敵の頭が割れて、中から人の大きさほどのハンマーが姿を現す。 『迷うな!行け!』 一瞬の怯みが斬る動作を遅らせ、頭から飛び出したハンマーは俺より先に攻撃を行った。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

546人が本棚に入れています
本棚に追加