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ハンマーは、素早く右側に回り込み襲いかかってくる。
その軌道は、落下する俺の目標地点を正確に捉えていた。
速い。敵に斬りかかる前に叩きつけられるぞ。
その場合、体を防いでくれる白煙は刀身に集中しているため、ハンマーの攻撃を生身で受けることになる。
瞬時に、頭の中で想像したのはハンマーで殴りつけられた自分の姿。
ダンプカーで轢かれたかと錯覚するほどの衝撃、骨が砕ける音、全身に走る痛み。
俺は硬質化させた光刀を右側に構えた。
選んだ答えは、敵への攻撃ではなく、自分の身を守ること。
『君の方が初動は速かったものを。仕方ない。左側に重心を傾けながら身を守れ』
俺は言われた通り、身を左に傾けながら光刀を構えて、迫り来るハンマーの衝撃に備えた。
輝きを放つ光刀に、ハンマーが接触する。
目先には視界を覆うほどのハンマー。
予想を遥かに上回る衝撃に、構えていた光刀が弾き飛ばされバランスを崩した。
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