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それでも、地面に投げ出されながら俺は体勢を立て直し、片膝をついて敵を見据えた。
光刀は、しっかりと握り締めている。
『身を守るより、少しは攻めることを意識しろ。今の攻撃、君が怯まなければ私達の方が速かったはずだ』
自分の中でわかっているつもりなんだ。次こそは攻める。
「大丈夫!?和也君!」
直ぐ様、背後から杏奈が現れて俺の前に立った。
奴は約5メートル先で、静かに立っている。
改めて地上から奴を見ると、その姿は冷徹な“殺人機”であることが窺えた。
豪快で鋼鉄の肉体を持つ巨人。
プロレスラーの肉体を機械化させた様な体つきと、体中に備え付けれた武器は、まるでSFアニメに出てくるロボットを連想させる。
奴の頭がグルグルと動き、辺りを見回し始めた。
緑色の瞳から放たれる白熱灯。
その視線は俺と杏奈を素通りし、何かを探しているかの様に忙しく動き回る。
『何かを探しているようだぞ』
光刀の考えも同じだったらしく、奴の動きは俺達を殺す目的ではないようだ。
「レベル3200。オリンポスの住民が何故ここに……」
杏奈は、奴にDIMを向けながらそう呟いた。
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