急襲

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鉄の巨人という名は、まさにその名前の通りだ。 あれに人が乗っている。 無差別に人を殺す意識なき機械ではなく、意図的に動かされている乗り物。 鉄の巨人はしばらく見回した後に、俺と杏奈へ視線を戻して静止した。 深い緑色の瞳から放たれる不気味な眼光。 杏奈は敵がどう動くのかを見守っているようだ。 敵から目を逸らさず、どう動くのかを待っている。 掌から生み出される水を見て、俺も光刀の柄を強く握り締めた。 仁と美沙はどこへ行ったのだろうか。 裏庭に降りた仁と美沙は、おそらくこちら側に回ってきたはずなのに姿が見当たらない。 そんな中、鉄の巨人の左腕が機械的な音を立てながら動き、俺と杏奈へ真っ直ぐ向けられた。 腕の先端部には、掌の代わりに部屋の中へ突っ込まれたガトリング砲が取り付けられている。 杏奈はそれでも動かなかった。 どうするつもりなんだ。 敵との距離は5メートルほどと変わらず。 この距離で攻撃されたら避けられないぞ。 動揺を悟られないよう懸命に敵を見据える中、予想外なことが起きて狼狽えたのはその直後だった。 奴の体から、ボイスチェンジャーに通した様な機械的な声が流れた。 《ネックレスはどこだ?》
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