急襲

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ネックレス……? 狼狽えたのは、心当たりのない内容からだった。 《貴様らが持っているのはわかっている。素直に応じれば、命は助けてやる》 突然の要求に、俺も杏奈も戸惑いを覚えたことだけは間違いない。 命を狙われるほどの物を持っているはずがない。 ガチャッと重たい音を奏でながら、さらに近づけられるガトリング砲。 《早く答えろ。月の形をしたネックレスだ》 「──!」 もしかして、美沙がつけているネックレスのことか? その言葉で、杏奈も敵が求めている物に気付いたようだった。 月の形をしたネックレスは、天草総長から美沙へ渡されるように頼まれたものだ。 確か、天草総長は局長からだと言っていた。 何故だ? あのネックレスに、そんな重要な意味があったのか……? 杏奈も気付いたと読み取れたのは、一瞬だけ瞼がピクリと動いたことから。 表情は変わらず、敵を見据える姿はそのまま。 敵はその事には気付いていない様子だ。 「人に物を訊く態度にしては、随分と大きいのね」 杏奈はそう言って、突きつけられるガトリング砲に自ら歩み寄った。
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