急襲

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掌から溢れ始める水。 『よく見ていろ。あの女、何か企んでいるようだぞ』 何か策があるのか、杏奈は敵の脅しに退けをとらず巨大な敵としっかり向き合っている。 《次、動けば撃つ。今、貴様らの心臓が動いているのは、月のネックレスのありかを知っているからだ。それ以外は生きる価値がないと思え》 機械的な音声とはいえ、敵の声から醸し出される威圧感は凄まじく、威嚇するのには十分だった。 嘘じゃない。動けば奴のガトリング砲が火を噴く。 未だに漂っている硝煙は、先程の部屋での攻撃のもの。 奴は躊躇いもなく俺達を殺そうとした。 それが出来なくなったのは、俺達が散り散りになって奴が求める月のネックレスのありかがわからなくなったせいだ。 『奴が何故、あのネックレスを知っているのか興味はあるな』 光刀はこの状況になっても、口調は冷静で余裕がある。 確かに敵があのネックレスを求める理由は知りたい。 杏奈は掌を夜空に向けて、小さな声で言った。 「あなた、自分が情報を吐き出させられる立場ってわかってる?」
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