急襲

20/27
前へ
/27ページ
次へ
刹那、杏奈の殺気を感じ取った鉄の巨人がガトリング砲に火を噴かせる! バラララララララ! 響き渡る重たい銃声。 しかし、視界に映し出された銃口は空を向いていた。 鉄の巨人が、意図的に上へ向けたわけじゃない。 銃弾が撃ち出される間際、銃口の真下の地面から強烈な水が噴き出し、まるでボクシングのアッパーを放つ様にそれを弾き飛ばした。 《──貴様!》 明らかに戸惑った声を出す機械音声。 そこから、初めて人間味を感じることが出来た。 鉄の巨人は腕を大きく弾かれたことにより、隠すように構えていた胴体を露わになる。 『さすがだな。経験値が桁違いだ』 杏奈はふわりと宙に舞うと、鉄の巨人の懐に潜り込み足を振り上げる。 美しく踊るバレリーナの様に宙で舞う杏奈。 振り上げた足の先からは、渦を巻きながら水が生み出される。 そのまま瞬く間に振り切られると、同時に爪先を中心に渦巻く水が膨れ上がり、足が何倍も大きくなった錯覚を起こす。 強烈な蹴りを喰らわされた鉄の巨人は、完全にバランスを崩してアパートに向かって倒れていく。 しかし、アパートに接触する間際、鉄の巨人はその機械の足を活かし尋常ではない体勢で踏み止まった。 『行くぞ!あと一押しだ!』
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

546人が本棚に入れています
本棚に追加