急襲

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ドライヤーからは、熱風を吹かす音が聞こえてくる。電源が入っているんだ。 杏奈は流れ続ける水から、そっと自身の手を引き抜いた。 延長コードに繋がった二つのドライヤー。左右からゆっくりと宙を舞い滝の様な水に忍び寄る。 その大量の水が流れ落ちるまで、ドライヤーが辿り着くのには十分な時間だった。 二つのドライヤーは、ほぼ同時に水の中へ侵入する。 ────バヂッッ!!! 直後、ドライヤーが一瞬光り輝き爆発に近い音が辺り一帯に響き渡った。 水は流れきり、さっきまで起き上がろうとしていた鉄の巨人は身動きさえしない。 『使えるな。水と電気を利用したということか』 仁と美沙が敵の前に姿を現さなかったのは、ドライヤーを探していたからか。 おそらく杏奈が頼んで、すぐに仁が作戦の内容を把握したのだろう。 頼もしすぎる杏奈。 そんな中、杏奈が見下ろしていた位置から颯爽と飛び立ち、身動きをとらない仰向けになった鉄の巨人の上へ静かに降り立った。
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