急襲

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杏奈が言い放つと同時に、身の危険を察して俺、仁、美沙は慌てて駆け出した。 アパートの敷地内から離れるまで数秒。 直後、背後から耳を裂くような爆発音が聞こえ強烈な風が吹き荒れる。 背中に熱風を感じると共に、凄まじい揺れが視界を揺らした。 熱気こそ伝わるが、危険は避けた安心感により、ゆっくりと振り返る。 「何とか……助かったな」 それを見てか、杏奈、仁、美沙が俺の周りで足を止める。 全速力で走ったことにより、何とか爆発からは逃れたものの、張り詰めた糸を切る様に俺は地面に腰を降ろした。 「もう、最っ低ー!」 美沙は息を切らしながら、炎が舞うアパートに向かって言い放った。 そんな中、杏奈はやはり冷静な口調で独り言の様に呟く。 「痕跡は残さないってことか」 奴は一体、何だったんだ。 レベル3000。杏奈は動揺を見せることなく、向かってきた敵と戦った。 これが当たり前ってことなのか? 新撰組やメビウスの輪以外に、もっと強いチームがいるってことだよな? 深まる謎を抱えながら見る炎は、これからの始まりを意味していたのかもしれない。
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