急襲

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光刀の柄を握り締めて、反射的に身を屈めた。 窓の向こう側から放たれる目映い光をじっと見つめる。 全身を揺らがせる様な緊張感と高鳴る鼓動は、いつもと何ら変わりないのに対して、不思議と心は落ち着いていた。 何故だろう。 窓の向こう側にいる何かの正体を掴むために、無意識に視線を集中させている。 それは戦争で得た順応性なのかもしれない。 また、これまでに感じた恐怖心よりは遥かに下回る対象。 直感と呼ぶべきものだろうか? 相手から放たれる威圧感は、神や三国志が放っていたものに比べれば、恐れるものではない。 『君自身が強くなったわけじゃない。君の心が少しだけ丈夫になっただけなんだ。油断するなよ』 抜刀するなら、敵が仕掛けてきた後。外は夜。向こうだって、こっちの姿を正確に捉えられていないはずだ。 「来る!」 室内に響き渡る杏奈の声。 ほぼ同時に、光が遮断されたかと思えば。 窓ガラスが激しい音を立てて砕け散った。 割れた窓ガラスの枠内から、目映い光が直接室内に差し込んでくる。 一瞬、何か巨大な物体が窓ガラスを叩いた?
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