急襲

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銃口だと認識出来たのは、窓から侵入してきたその巨大な円柱の先端に幾つもの底が深い穴が空いてることから。 火薬の匂いが部屋中に漂い始める。 外から窓をぶち破って、巨大な銃を突っ込んできたのか? バララララララ! 耳を割くような重低音。 突っ込まれた銃口が火を噴き、激しい音を奏でながら弾丸が撃ち放たれる。 その威力は大きさに比例し、直線上に置かれた物を抉る様に吹き飛ばしていく。 「きゃああああ!」 隣で、壁際に寄り添いながら両耳を押さえた美沙の悲鳴が響き渡る。 放たれた弾丸は、物を弾き飛ばし壁を激しく抉った。 危なかった。杏奈の指示で壁に寄ってなかったから、殺られてたかもしれない。 床には巨大な鉄の塊がゴロゴロと転がる。 まだ熱気が籠っているのか硝煙を漂わせた銃弾。 巨大な銃口から放たれる攻撃は、なおも止む気配がない。 バララララララ! 『外に出るぞ!ここじゃ狭い』 わかってる。 そのためには、窓と玄関を結ぶ様に位置する直線の廊下を抜けなきゃいけない。 まだだ。窓から突っ込んできた銃口の攻撃は、直線にしか放てないはずだ。 異変があったのは、そう考えた直後。 反対の壁際に立っていた杏奈が動く。
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