BLACK★STAR

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敵に向かって花畑を全力で駆け抜けるユキヤとルイ。二人同時に攻撃を意識し、レベル一万超えの警報が頭の中で流れる。 その後に空は、二人との距離を空けすぎない様にほど良い間隔で後を追った。 蜘蛛が二人を意識したのか、赤い瞳がギョロりと動き、その巨大な地響きを立てながら僅かに動く。 その直後、走りながら手を前に差し出したユキヤからは能力を放つ瞬間の独特の雰囲気が醸し出された。 「あー!やめろ!」 その様子を見ていたルイが、ユキヤに向かって怒鳴り声をあげた。 ユキヤの能力、“見えない粘土”は短距離から広範囲に渡って広く活用出来る能力だ。 命力で、目に見えない特別な粘土を作り出し、その量や質に応じて様々な形に変形したり、幾通りにも渡る攻撃パターンを繰り広げることが出来る。 ユキヤが手を振り下ろすと同時に、敵の頭上に作っておいたであろう巨大な粘土が、蜘蛛の体を鈍い音と共に押し潰した。 蜘蛛の体は岩石が落ちてきたかの様に、グシャンッと上体が潰れる。 「──!」 ここからだな。 蜘蛛の体は、風船に穴を開けた様に破裂を起こした。 その脱け殻となった蜘蛛の中からは、人のサイズほどの真っ白な蜘蛛が大量に噴き出し始める。
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