BLACK★STAR

9/20
前へ
/22ページ
次へ
その数は、数百……数千に及ぶほどの凄まじい勢いで、蜘蛛の裂け目から新たな蜘蛛が現れる。 飛び出した白い蜘蛛達は、花畑を埋め尽くし、降り立つ場所が無くなると折り重なり始めた。 「気持ち悪いわね」 後ろに立つ天海が、その光景を見ながら呟く。 「あの白い蜘蛛は何だ?」 俺の質問に対して、天海は首を振って答えた。 「データなし。レベル測定は行ったけど、一匹のレベルは300で統一されているわ」 「300か……」 大したことはないが、数千匹となると話が変わるな。 単独で乗り込んできたプレイヤー達が、ここで死んだのも頷ける。 一人で数千匹を対処するのは不可能だ。 降り立った真っ白な蜘蛛達の口からは、肉を求めるかの如く鋭い牙が現れる。 「きゃああああああ!気持ち悪いいい!」 ユキヤと共に先頭に立っていたルイは、慌てて立ち止まり蜘蛛達から一歩遠ざかった。 その場での能力発動。 ルイは敵から遠ざかりながらも、掌に命力を灯して辺り一帯に放った。 ルイが放った命力は、敵の方角とは検討違いの方向へ四つほど花畑に落下する。 その途端に、命力は黒い穴を作り出した。 それぞれの穴の中から現れる人影。 ボロボロになった浅葱色の羽織が目に入ってくる。 自分で戦わないところが、“デッドマリオネット”の面白いところだよな。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

456人が本棚に入れています
本棚に追加