BLACK★STAR

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「よし!行けー!」 ルイを守る様に、離れ離れに三角形で立つ三人の体が揺らめく。 宙に浮かび続ける残り一つの穴は、確か人形を出し入れするためのものだ。 人形を糸で吊ると、不安定だった体がピシリと背筋を伸ばした。 徳川家康がゴルフクラブの形をした刀を構え、牛若丸は通常の刀身より細い刀を手に持つ。 ミラは両掌に命力を灯した。 三人の人間を同時に操ることが出来るのは能力のおかげではなく、異常なまでに長けた男を操るセンスから。 男達の中心で、虹色の花畑の上に立つ背の低いドレスを纏った女。 死体を弄ぶ行為に抵抗はない。 加えて、異常な命力の量。 三人の体を操ることに加えて、能力をそのまま使用するということは、全ての命力を賄わなければいけない。 それがこの能力を成立させている。 操られた三人の男達は、凄まじい勢いで蜘蛛の群れに向かって走り出した。 折り重なった蜘蛛達は即座に反応して、三人に殺意と牙を向ける。 自分の身など気にせず。 三人は蜘蛛の群れに突撃し、自身らが持つ能力と武器を使い蹴散らし始めた。 「いっけー!」 まるで、スポーツを観戦するかの様に叫ぶルイ。 その姿を見て、これまでルイの背後にいた空が呟いた。 「僕も行こうかなー」
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