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やっと揃った新兵器の御披露目ってところだな。
二宮が手の平を天に向けて掲げると共に、背後から凄まじい勢いで地中を割り姿を現し始める巨人像。
それは、つい先ほど地中から現れた門の高さをあっという間に凌駕する。
「二対揃うと相当大きいわね」
姿を完全に現したポセイドンの大きさは、以前メビウスの輪の神が繰り出した時よりも倍以上の高さがある。
作られたであろう世界の空を、突き破りそうなほどの高さ。
見上げても、あまりの高さに頭の先を見る事が出来ない鉄の巨人は、唸り声に近い不気味な重低音を発している。
メビウスの輪の神が保有していたポセイドンは上半身。
奴はそれを完全なポセイドンだと認識していただろうが、それは誤りだ。
“黒田の日記”にも書かれていたが、ポセイドンは何らかの事情があって、上半身と下半身の二つに分けることになった。
そのうちの一つである下半身は、“ある裏クエスト”で必然的に見つけることが、残りの上半身を手に入れるのはだいぶ苦労した。
俺がメビウスの輪に侵入した目的の一つが、ポセイドンを隠し持っているか調査することだったなんて、今となっては死んでしまった神は知るはずもない。
上半身と下半身の二つが揃ってこそ、初めて本当のポセイドンだと呼べる。
ポセイドンが一瞬にして光に変わったのは、その直後だった。
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