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あれほど巨大だった鉄の塊が、薄く細い線の様な光に変わり、僅かな輝きを放つ。
その光は、二宮に向かって一気に降り注いだ。
「凄いわね」
シャルキーは、その光を見ながら何度か頷いた。
その頷きは、この光景を予知していたことからだろう。
きっとシャルキーは、ポセイドンを使った先まで見えている。
最近になって予知能力が急激に進化してきているのは、シャルキーが口に出さなくとも何となくわかってはいた。
シャルキーは“どこまで”見えているのだろうか。
気になりはするが、本人が話すまではこっちから訊かないのが約束だ。
俺は、二宮を飲み込む様に降り注ぐ光へ視線を戻した。
ポセイドンには二通りの使い方がある。
神のように莫大な命力を払って、その姿のまま暴れさせる使い方もあれば……。
二宮のように身に纏わせて、そのまま自身の力に変える使い方がある。
おそらく後者が正しい使い方なのだろう。
ポセイドンを身に纏わせ終えた二宮の姿。
その姿は、二宮の体の大きさまでポセイドンが縮んだだけなのだが、内に秘めた力は息を飲むほどだった。
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