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それから俺達は、その時刻を迎えるまで時間を潰す他ならなかった。
仁は持ってきたパソコンと向き合い、再び何かを打ち込み始める。
美沙と杏奈は、使っているシャンプーやら服のことなどで、女の子らしい会話をしていて時間潰しには困っていない様子だ。
周りを見渡しても、あまりに寂しい景色からか、すぐに退屈な気持ちが生まれ始める。
『退屈だと思う気持ちは大事だぞ。時間を無駄にしたくない証拠だからな。何か明るい事でも考えればいい』
光刀らしくない気がするんだけど、何か変わった?
『この3ヶ月間で君は落ち込みすぎた。私なりの気遣いだよ』
変な気遣いだな。光刀の性格は未だに飲み込めないけど、色々と俺のことを心配してくれていたり良い奴だってことはわかる。
辺りを見回しても、動物なども一切いない。
そういえば、はるかが前にブラックアウトが作った生き物はいるけど、本当の命ある生き物はいないって言ってたっけ。
あれはかぐや姫のクエストに行く途中だった。
かぐや姫クエストで見た、吸い込まれるような満月。
やがて、陽が落ちて辺りはすっかり暗闇に包まれる。
空には、かぐや姫クエスト内で見たような美しい満月が浮かんだ。
そして、時刻はとうとう23時59分を迎える。
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