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遥か遠く。本当に微かにだが、青空の麓で霞みがかった山がうっすらと見ることが出来る。
遠いからこそ小さく感じるのだが、おそらくかなり大きい。
多分、日本の富士山の何倍も高いんじゃないだろうか?
もしかして、あれがエベレスト?
エベレストってどこにあるんだっけ……。
山の正体の答えを求めるように杏奈へ視線を向けると、やはり知っていたのか遠くの方を見定めながら口を開いた。
「私も目で見るのは初めてだから、確かとは言えないけど……多分、あれはオリンポス山脈だわ」
「オリンポス山脈?」
美沙が首を傾げながら、杏奈を見る。
「ええ。始まりの世界の終着点と呼ばれている場所よ。仁君は少しは知っているんじゃない?」
「ああ。有名だから少しだけなら。でもあの山は現実世界にないよな?あそこに何があるんだ?」
「山頂には、メインストーリーの入口があると言われているのよ。メビウスの輪の神と三国志も登山に挑戦したけど駄目だったの。だから、メビウスの輪は基本クエストをクリアして、メインストーリーを目指したのよ」
あの山の頂上にメインストーリーの入口が……。
「私達は、登山に失敗したことを“オリンポスの敗戦”と呼んだ」
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