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話を聞いても動揺を見せなかった仁が、顎に指の先を当てながら何度か頷いた。
「なるほどな。だからメビウスの輪だけじゃなく、新撰組もこのルートを諦めたのか。メインストーリーへの道が判明しているのは現在で二つか」
基本クエストのオールクリアと、オリンポスへの登山。
何か真剣に考え込みながら、仁はそう呟き自身の考えを述べた。
「新撰組には少なくとも、天草総長の瞬間移動やセスさんのブラックカーテンなどの物理法則を無視した移動能力を持っている人達がいた。それでもオリンポスを攻略出来ないとなると、クリアするのは不可能に近いな」
これまで静かに話を聞いていた美沙が、いつもに増して明るい口調で声を出す。
「まあ、いいじゃん。ゆっくりでさー。慌ててもしょうがないし。それより早く行こうよー。シンデレラ!」
「そうだな」
それに対し、考え込み始めていた仁が表情を緩ませて答えた。
「そもそもシンデレラクエストって、どこにあるんだよ」
俺は仁に向かってそう言ってから、改めて周囲を見渡した。
やはり延々と広がる幻想的な景色以外には、それらしきモノは見当たらない。
「大丈夫。正確な場所はわかってるから。すぐそこだよ」
仁は人差し指で山が見える方角とは逆を差した。
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