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男は、まさに新撰組にいた証である、浅葱色の羽織を未だに着ている。
ただし、背中に描かれているはずの“誠”の文字は、焼け焦げた後の様に破けていた。
慌ただしさに包まれた、ブルーダイヤモンド本拠地。
総勢2600人が、男を様々な位置から取り囲む。
そんな中、崖の様な壁の上に設置された青い玉座に座る人間が、男を見下ろしながら口を開いた。
「何故、ここに本拠地があるとわかった……?」
それに対して男は、素直に答える。
「初めは異次元空間にでもあるのかと思ったが、さすがにそれはあり得ねえ。あんた達が、昔揉めたレッドキングダムとブルーダイヤモンドの抗争跡地から調べて、ここへ来た」
本拠地内は、至って簡単な内装。
巨大な空間。見上げれば天井は極めて高く、その途中の壁には幾つもの穴がある。
ブルーダイヤモンドのメンバー達はそれぞれ、その穴から男を見下ろしていた。
中から見ても、建物の形は円柱であることがわかる。
その円柱の底の部分に男は立ち、壁際から伸びた険しく切り立っている岩の上に玉座が設置されていた。
「なるほどな。あそこはまだシステムが作られていないことになっているが、運営側がわざわざ記念に残した地だからな。どうやってここへ来たのかは、あえて訊かないでおこう。能力を知っているから、だいたいの想像がつく」
玉座に座った人間の瞳。
かつて冷酷と呼ばれた土方の瞳よりも、深く冷たい目をしていた。
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