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途端に、本拠地内がざわめく。
土方が、チーム登録をしていなかった意外な事実に驚く者が半分。
さらに残りの半分は、アロの鋭い考えに対する称賛だった。
「ならば、他にチーム登録を行っていなかった者もいただろう」
アロは導き出した結果から、さらに推測を行い、その先の答えを述べた。
それに対して、土方はすぐに返答する。
「新参者は、ある一定の条件を満たした者が正式に新撰組に入ることになっていた。それを除けば、登録していないのは俺だけだ。新撰組は鉄の掟で動いていた。チーム登録は絶対だ」
土方は嘘は言っていなかった。
ただ、最後に参入しようとした三人の顔が微かに過る。
何故、条件を満たしたにも関わらず、メビウスの輪との戦争が終わってから登録させようとしたのか?
不確かな形のないモノかもしれないが、心のどこかで何か嫌な予感みたいなものがあったのかもしれない。
だからこそ、インスピレーションに似たモノを大事にして遠回しの形をとった。
結果的には、杞憂には終わらず、新撰組は崩壊。事実上の解散。壊滅を迎えた。
アロは、土方の瞳の奥を覗き込み答えを得た。
嘘は言っていない。
「いいだろう。チームに入れてやろう」
その言葉に、さらなるどよめきが起こる。
アロは遥か高い位置から、土方を見下ろしながら付け加えた。
「ただし、二番目の座を奪えたらな」
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