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示された条件は、ブルーダイヤモンドの二番目の者に勝つこと。
それは誰が聞いても至極、簡単な内容だった。
要求を飲んだアロ。
土方は、アロが納得すれば、その条件を出してくるだろうとある程度は予想はしていた。
いきなりチームの二番目に入れろと、無茶な要求を言っているんだ。
当然そうなることは見えていた。
アロの目論見としては、土方が欲しい人材であった事には間違いない。
寧ろ、能力の傾向や、性格を考え、前々からブルーダイヤモンドに欲しいとさえ思っていた。
願ってもない千載一遇のチャンス。
しかし、他のチームメンバーがいる手前、そんな言葉は口に出せない。
だからこそ、実力を見てとの話を提示した。
冷静に客観的に全ての物事を判断できるアロだからこそ、自分が前々から欲しいと思った人間さえ、もしかしたら他人に壊されるかもしれないリスクを恐れない。
そんなアロと、約2600人の観衆が見守る中、土方とブルーダイヤモンドの二番手の戦いが始まった。
壮絶な戦いが繰り広げられ、意外にも決着はすぐにつく。
土方が最初から全力で、命力を惜しみなく使ったのが早期決着の原因だった。
「土方歳三か……」
高い位置から見下ろすアロ。
「世界が変わる出来事の時に、お前の様な人間が入れば楽しそうだな」
それは、その場にいる誰一人に届かないほど小さな声。
青い玉座に座るアロ。
その姿は、まだ幼さが残った17歳の少年だった。
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