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「効き目があるといいが……」
額に当てた光がゆっくりと仁を包み始める。
王子はさらにもう片方の袖を捲り上げた。
「────!」
その光景を見た、俺を含めた三人全員が息を飲む。
王子の肘より少し下。
そこには見に覚えのある物が描かれていた。
刺青のように皮膚に描かれた文字。
王子の腕には“104号”と描かれた数字が彫られていた。
袖を捲った腕で王子がもう片方の手に添えると、光の大きさは増して仁の上半身全体を包み込んでいく。
「呪いの力が大きすぎる……。こんなにも大きな力を持つ呪いは見たことがない……」
呪いの力。明らかにこの白骨化のことだよな。
やっぱりこの鎌は何かしらのデメリットがあるのか……。
王子は額に汗を浮かべながら、両手に灯した光を仁に当て続ける。
すると、5分経過した頃だろうか。
白骨となっていた部分が、段々と元の姿へ戻り始めた。
「いつから居たんですか?」
美沙の質問に、王子は仁に視線を向けたまま答えた。
「舞踏会の最中、まるで時が止まったように私以外の人間が全く動かなくなってしまった」
逆流するように白骨から元の姿を取り戻す仁。
王子がそう言った時には、二の腕辺りまで治ってきていた。
治療を行いながら、さらに王子は続ける。
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