舞踏会-2

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敵は重圧によって頭部からバランスを崩し、輝きを放つ水弾は破裂すると同時に爆発を引き起こした。 『一分経過。まだまだ時間があると思うなよ。大きな力を使えば、それだけ時間は減るんだ』 爆発によって生じる煙が敵の頭を包み込む。 『駄目だな。こっちは威力がまだ小さい。しかし……』 三本の腕を使って煙を振り払う敵。 漂う煙が晴れて、敵の頭部が姿を現すが傷を負った形跡はなかった。 このままいけると思ったが、そんなに甘くないか。 『視界を奪ったのは正解だったな。一の型。狙うは敵から見て下の右腕』 煙を晴らすことに必死になっていた敵に、攻撃に反応する術はない。 再び右腕を伸ばすと、即座に刃へと変形し始める。 俺は、すかさず光刀から言われた通りの場所を狙い攻撃を繰り出した。 ────バシュッ! 鈍い音と共に切断した敵の腕が宙に舞う。 「ギ、ギギ、ギ、ギイィイ゛イイィイギキ、゙キ」 切断した傷口から噴き出す真っ赤な血。 返り血が俺の服に飛び散った。 「あと二本……」 水を通して鮮明に見える悲痛な顔をした敵。 このまま、もう一本いけるはず。 『退け!命力が圧縮されている!大きい攻撃が来るぞ!』
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