545人が本棚に入れています
本棚に追加
瞬く間に口の中の光が膨れ上がった。
『まずい!』
自分の動きが敵より圧倒的に勝っているからこそ、その状況を見て悟らされる。
避けるのに間に合わない。
敵の攻撃が俺に到達するまでと、俺が体を逸らして避ける時間。
敵の攻撃の方が速い。
『だから退けと言ったろ!』
「くっ!」
放たれる光。体に纏った水を通して鮮明に伝わってくる命力の密度。
『少しでも被害を減らすために今からでも退け!』
体の奥底。この力を使っているから遅く感じるのではなく、さらに物事の流れが緩やかに感じた。
何かが湧きあがってくる。
「はあ」
ほぼ無意識に動かしたであろう全身。足裏に力を入れて、敵に向かって倒れ込む様に歩み寄る。
構えた右腕の刃。
『和也!』
敵の口が大きく開き、光が解き放たれる。
それとほぼ同時。
いや、敵よりも一瞬だけ速く。
俺は右腕の刃を敵の口の中に押し込んだ。
「うわああ゛あああああああ゛ああ!」
刹那、視界は目映い光に埋め尽くされた。
最初のコメントを投稿しよう!