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刃の先から凄まじい振動が響き渡り、耳を裂くような轟音が鳴ると共に、爆発によって体が熱気に包まれていく。
身体中に纏った水が弾け飛びそうになるが、体に吸いつくようにへばりついた。
それでも全身が熱くなり、明らかに自分の体に火傷を負っていく。
『いや……私が間違っていた!これでいい!押せ!』
爆発に耐えながらも、俺は伸ばした右腕の先の刃にグッと力を込めた。
直後、口に刃を突っ込まれた敵はその攻撃に堪えられなくなり、バランスを崩しながらも自分の身を強引に退いていく。
「はあ はあ」
後ろに身を退いた敵の口の中で溜められていた光の塊の爆発は、最小限に留まって消え失せていった。
おそらくは口の中から直線的に放たれるはずだった攻撃。
口の中に刃を突っ込んだことによって、その場で爆発を引き起こした事で敵の顔面は火傷で爛れていた。
『なるほど。口の中に刃を突っ込み、爆発を最小限に抑えた。君にしてはなかなかやるじゃないか』
敵の姿は既に腕を二本失い、顔は火傷で爛れて無数の目玉が幾つも零れ落ちそうになっている。
『しかし、今ので大幅に力を消費してしまった。時間がない。ここでけりをつけるぞ』
わかった。
全身が重たい。今にも倒れそうだ。
無意識に52号と描かれた数字が目に入る。
『行くぞ。最後だ。“終の型”』
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