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まるで、川に流れる水のように自然な動き。
鎌の刃は、直線的に敵へ向かって流れていく。
冷や汗さえ出てくるような嫌な感じがした。
その場に、思わず立ち尽くしてしまう嫌悪感。
敵はただただ鎌の攻撃に備えて、残った二本の腕を十字にして防御体勢をとった。
鎌の刃が敵の腕に接触したのは、時間にして1秒に満たない。
「ギキ゛、キギキキ゛!」
例えば、敵の体が壁であるとするならば。
障害物など何もないかのように、鎌は直線的に進んだ。
皮膚や肉を切る音なく、すっと静かに敵の腕を切断する鎌。
十字にした敵の腕をあっさりと通過し、敵の上体に辿り着く。
あの鋼鉄のように頑強だった肉体。
その肉体すらも、鎌は障害物などと意識することなく刃が体に侵入していく。
「ギ、キ゛キギキキ゛ギキ゛ギキ゛、キギキキ゛ギキキギぎ、キキ゛」
吸い込まれるように、その光景に見入ってしまう中。
最後にはスパッンと鋭い音を立て、敵の体は胸の辺りから真っ二つに切り裂かれた。
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