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僅か数回あまりしか出入りしてないにも関わらず、何だか親しみのあるシンデレラの家。
「この家に入るのが、これで最後であることを願いたい」
おじさんは不安な表情を浮かべていた。
一体、どれくらいの間、このクエストに閉じ込められていたのだろうか。
気になることが山ほどあるな。
護衛の兵隊が入口を固め、玄関の先で大臣が挨拶をすると、家の中に入っていく。
その後、王様、王子、俺達が続いた。
中に入ると、他の家と同様に、部屋が花などによって綺麗に装飾されている。
シンデレラの継母と姉妹二人が、これ以上にないほどの笑顔で迎えてくれた。
『あの女が見当たらないぞ……』
光刀の言う通り、見渡してみてもシンデレラの姿はなかった。
美沙は、継母や姉妹には見向きもせずに、キョロキョロとしている。
継母の言い付けによって、二階にいるのだろうか。
大臣が継母達に向かって、令状を読み上げ始めた。
何件も回っていることもあり、既にその口調に覇気はない。
「それでは、どなたからでも良いので靴を履いて下さい」
上品な赤い布に包まれたガラスの靴が、他の家同様に姉妹二人へ差し出される。
「私が先に履くんだから!」
そう言いながら、姉妹の一人が強気に前へ出てきた。
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