夢の終わり

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王子達は、城から近い一件一件の家を丁寧に回った。 大臣らしきお付きの者が住民名簿らしき物を持って名を読み上げ、子供から老人まで一人一人に靴を履かせていく。 瞬く間に、国中へ知れ渡る王子の婚約者探し。 家から家へ移動する度に、沢山の人だかりがその行方を追う。 「昨晩、王子様と踊ったのは私よ」 どの女性も似たような言葉を放ち、差し出されたガラスの靴に足を入れた。 「は、入らない!」 ガラスの靴は、普通の女性が履く靴のサイズよりも明らかに小さかった。 しかし、子供が履いても大きすぎるという絶妙なサイズ。 「この女性も違います」 大臣は王子に向かって告げると、次の女性へ。 そんな様子を見守る王様は、国の主とは思えないほど気弱な感じで見ていた。 「王子。本当にこんな探し方が正しいのか?隣国との和平も無くなり、わしの心には不安しかない」 「心配ありません。お父様。隣国も私と王女の結婚が無くなったことは納得しています」 それに対し、王子はいつに増してしっかりしているように感じた。 いつかは国を治める王様に。 それは、そんなに遠くないように感じた。
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