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溶かした様な顔面の皮膚。
その傷は新しいものであることが、誰の目に見てもわかった。
思ってはいけないことなのかもしれないが、酷い有り様。
全面に広がる縦に入った無数の皺(しわ)は、一本一本が非常に深く、肉を垂れ下げている。
これがシンデレラ……。
火傷に、火傷を重ねて作られたような深い傷。
それでも、シンデレラと証拠付けるものがたった一つ残されていた。
瞳。正確に言えば、眼球だけは元の美しい色と深みを保っている。
「そ、それでは靴を履いてください」
狼狽えた大臣が、まるで化け物でも見たかの様にシンデレラへ靴を進める。
そんな中、おじさんを見てみると、靴を履こうとしていたシンデレラを真剣な表情で見守っていた。
『今は呪いがかかった状況というわけか』
いや。違う。誰かの手によって、つい数時間前につけられた傷だ。
シンデレラは弱々しく、自分のボロボロの靴を脱ぎ、細い足をゆっくりとガラスの靴へ向ける。
しかし、予想外なことがここでまた一つ起きた。
シンデレラの足首は、何かによって叩かれたのか、酷くむくんでいた。
異常なまでに腫れた足首。
何でこんな話を……。
必要があったのか?
さすがに予想外だったのか、仁は不安そうな表情を浮かべていた。
シンデレラがガラスの靴へ入れるが、むくんだ足がそれを許さない。
な、何で? こんなことが……。
ふと継母に視線を向けると、不気味に笑っていた。
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