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頬を伝う透明な細長い線。
美沙の瞳からは涙が溢れていた。
そんな美沙の姿を見て、俺も息苦しく熱い何かが込み上げてくる。
「唯一の肉親なのに……。血が繋がっていなかったとしても、同じ屋根の下で暮らす自分の娘じゃない」
そうだ……。
線と線が繋がる様に、ある一つの想い出が蘇った。
何で、もっと早く気が付かなかったのだろう。
美沙が、シンデレラに対してこんなにも感情移入しているのは、大きな理由があるからじゃないか。
私の両親は血が繋がっていない。
そう美沙から聞かされたのは、今から二、三年前頃だった気がする。
たまたま自分の戸籍謄本からわかったらしい。
確か、旧姓は黒田美沙。
美沙は今の両親に、大切に育ててもらっているから特別気にしていないと言っていた。
でも、そんな自分の境遇と、シンデレラを重ね合わせていたからこそ、美沙にとっては初めから他人事だと思えなかったのだろう。
「よせ!美沙!」
涙を流しながら、継母に掴みかかろとした美沙を仁が止める。
予想外の事態。
不意に高鳴る鼓動。
『この場で、手を出せば途端にクエスト終了の可能性もある。落ち着いて考えるんだ』
シンデレラと王子が結ばれる方法を!
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