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どこへ行った……?
室内を見回すが、継母の姿はどこにもない。
「信じられない美しさだ」
視線を戻すと、大臣が元の姿となったシンデレラに目を見開き驚いていた。
やはり、髪に隠されていないシンデレラの顔は、別人の様に美しい。
そして、腫れがひいた足は、見事にガラスの靴の大きさにぴったりだった。
「どうだ?大臣。父さん。靴の大きさはぴったりだぞ」
王子は、心なしか嬉しそうな表情で見上げた。
「信じられない……。王子の茶番に付き合っているだけだと思っていたのに……。これは運命と言うべきなのだろうか?」
意味深な事を言う大臣。
「まるで宝石のような美しさ」
ずっと見守っていた王様が呟く。
王子はシンデレラの手を優しく取って口を開いた。
「父さん。大臣。以前、私が話していた街で出逢った女性は間違いなくこの人だ。そして、昨夜、私が踊ったのもこの女性だ。まるで、女神の様な瞳を持つ女性。私の父が愛した母のように」
大臣は、王子の背中を見ながら切なそうな顔でして返事をした。
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