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運命ってやつなのかな。
皮肉だよね。だってさ、選ばれた存在であるヒカルの恋人は、黒田さんの姪の櫻井京香でしょ?
その櫻井京香は……。
ヒカルがブラックアウトをプレイしている目的は、櫻井京香を助けるため。
「各自、その日が来るまで準備を整えておくように」
世界の王補佐のリーダーが言った。
会議が終わると同時に、波紋の様に広がるざわめき声。
隣を見ると、沖田は直ぐ様、帰る用意を整えていた。
「では。黒田さんによろしくお伝えください」
目が合うと、にこやかな優しい笑顔で言う沖田。
「はい」
ブルーダイヤモンドの土方の話を聞いて、何を思ったのだろうか?
何年もの月日を共にした仲間だよね?
動揺を見せないのが素晴らしいな。
僕はノートを捲り、ある1ページを開いた。
ざわめき声の中に混じって、耳に届いてくる世界の王の補佐の声。
「でも、マリアさんがいなかったとしても、よくあの複雑なクエストをクリアしたよねー。ってことは、“あの人”も出てきたってことでしょー?」
声の主は、鬼畜と呼ばれている男だった。
「興味あるな。裏シンデレラクエストをクリアした人達に!だって無名でしょ!?やるよねー!僕、会いに行ってみようかなー!」
そんな言葉が耳に届いてくる。
ノートに描かれたのは、一つの機械。
黒田さんが考えた発明品だ。
皮肉だな。
櫻井京香は。
ブラックアウトの核なのだから。
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