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「シンデレラクエストを……。間違いなく“裏”の方なのか?」
誰かの問いに、部屋に訪れてきた人物は自信を持って肯定した。
シンデレラクエストの担当管理者は、世界の王の直属補佐にあたる一人、マリアの担当だ。
そう。この部屋に確かに座っている。
これはわかる者なら、誰が聞いてもおかしいことなのだ。
何故なら、裏シンデレラクエストのボスに設定されているのは、マリア本人だから。
つまり、マリアを倒さなければクリアはならない。
だからこそ、この部屋にいることがおかしい。
室内は、一気に殺伐とした空気に包まれる。
「あれー?もしかして僕の隣に座っているマリアさんは、能力で変装した別人?」
マリアの隣に座った男が口を開いて、この場にはそぐわない陽気な声でそう言った。
あれは……。世界の王の補佐の一人。
実験で人間を改造しては遊ぶ、最も残酷な存在。
噂では“心”をも改造出来ると聞いている。
室内にいる全員の視線が、マリアに集中した。
答えようによっては、戦闘にすら突入しかねない。
ブラックアウトのプレイヤーではない人達、つまり大統領クラスは傷つけられない存在だ。
偽物でもない限り、なるべく戦闘は避けるべき。
重々しい空気が漂う中、マリアが口を開いた。
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