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アレクサンドロスの領土に侵入したのは、それから数秒後。
踏み締める土が灰色に変わったのが、領土に侵入した証だ。
卑弥呼の走る速さに合わせて、景色が流れていく。
途端に周囲へ響き渡るサイレン。
随分と派手な演出だな。
多分、侵入者がいる事を仲間内に知らせるだけではなく、あえて敵に教えて身を退かせるためも含まれているな。
アレクサンドロスは人数が少ない。
自陣を守るためにも、無駄な戦いは避けるべきといったところか。
人数が少ない分、個々のレベルは高いらしいが、何にしろ謎に包まれている。
「天海!目標の建物までどれくらいだ!」
前方にいるヒカルから飛び出す声。
「まだ出ない。走っているせいね。常に目標までの距離が変わり続けているから、時間がかかりそう」
まるで槍の形の様に一直線に走り続ける。
「まだ敵は来ないな。一度、止まって正確な位置を測定してからにするか」
ヒカルの言葉に卑弥呼を始め、全員が走る速度を緩め始める。
しかし、直後、目の前に広がる空間。
頭上には予想だにしない光景が映し出された。
「きゃあ!嘘でしょおお!」
ルイが男の様に野太い声で悲鳴を上げた。
来たか。
突如として現れた視界を埋め尽くすほどの巨大な岩。
真っ直ぐ。
正確に。
投げられた様に勢いよく、俺達に向かって落ちてくる。
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