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─────二宮龍平─────
無謀とは、先の事を考えずに乱暴に物事を行うこと、と辞書に書かれていた。
そう言った意味では、うちのチームは予め積み重ねられた計算の上で物事を進めるため、無謀ではないだろう。
まるで予言書を書くように、ヒカルがシナリオを作ってくれるからな。
「無謀じゃない?」
いつも、わりと乗り気なはずのルイがそう呟いた。
「いくら何でも無謀すぎるわ」
チーム内で頭脳としての役割を果たす天海も、ちょっとひきつった顔で呟いた。
俺は手に持ったメロンソーダ入りのペットボトルを口に運ぶ。
「無謀か?」
ヒカルが全員の顔を見渡しながら、自信を持った表情でそう言った。
「シャルキー、何か予言はあるか?」
ヒカルは、本物の予言者シャルキーに意見を求める。
俺は、全員が喋る内容をただ黙って聞いていればいい。
それが俺のチーム内での役目だ。
黙っていることが役目?
笑えるかもしれないが、これは重要なことだ。
チーム内で、一人が黙って話をちゃんと聞いているだけでも輪を保てる。
そして、一番良く全員を観察している奴は、誰かの微妙な変化にいち早く気付けるんだ。
「こればかりは、わからないわ。でも個人的なイメージとしては死の方向へ一直線ね」
シャルキーの口調も、いつもとは違って僅かに動揺している。
全員が輪になって、机を囲んだ状態。
机には一枚の地図が広げられていた。
メロンソーダうまいな。
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