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「そうか……」
ユキヤはメンバーの中で唯一、単独行動が多い男。
インジェクションを手に入れていてもおかしくはない。
ヒカルが信頼を寄せている人物。功績は高い。
天海がクエストのハッキングに成功したのも、ユキヤがブラックアウトの謎を解いたおかげだ。
世界地図の外側に構えるクエストの島々。
一見、ここでフィールドが終わっていると見せかけた暗黒の海を越えた先に、それらの大陸がある。
驚きだよな。この世界は、本物の地球より広いんだから。
試しに一つのクエストを占領し、データを強制クエストに書き換えて“あの男”を呼び寄せた時にたまたまついてきたのが卑弥呼だったな。
そして、外の世界への出口を見つけたのもユキヤだ。
これらから予想して、どういうわけかユキヤはブラックアウトの運営側の人物と繋がりがあることがわかる。
誰も追求しないけどな。
「ユキヤ……」
俺は、ユキヤと二人きりになれるチャンスをずっと窺っていた。
「聞きたいことがあるんだ」
唐突な質問。だが、聞くなら今しかない。
シャルキーの予言や直感が俺にも移ったか?
ただ、何となくの勘でしかない。
証拠があるわけじゃない。
ユキヤはヒカルに言われ、ずっと捜索していたんだ。
だからこそ、失礼極まりない質問だろう。
それは承知の上。
「お前、はるかを殺したんじゃないよな?」
扉に手を掛けて、既に部屋から出かけていたユキヤの動きがピタリと止まった。
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