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「俺がはるかを殺したって?」
ユキヤは俺の方を振り返り、馬鹿げた質問だと言わんばかりの笑いを口から溢した。
「 ありえねえよ 」
冷たい視線。そして、その雰囲気からは冷気さえ感じた。
「聞いてみただけだ」
「冗談にもほどがあるぜ。ったく」
冷気を掃除機で吸い取る様に、ユキヤの雰囲気に明るさが戻り始める。
一瞬、沈黙が続いた後、ユキヤは背中を見せ、部屋を後にした。
残ったのは、僅かに肌で感じ取った殺気。
人は疑われた時に、動揺を見せない強靭なら、僅かな緩みか、強い視線を対象に向ける癖がある。
その内容が、大きければ大きいほど強くなる。
今の殺気は、疑われた事への腹立たしさからか?
それとも……。
なあ?ユキヤ。
知ってるか?
アレクサンドロスに同盟を申し入れる、もう一つの理由を。
ヒカルも迷っているんだろうがな。
ヒカルは、問題を同時に解決する器用な奴だ。
メインストーリーの攻略以外に、さらにもう一つ。
アレクサンドロスには、特殊な能力を持った奴がいる。
公にはなってないけどな。
それが特殊捜査能力。
噂では、人が歩く際に残した命力を辿って追跡することが出来たり、その場所でどんな戦闘があったか残った命力から調査出来たり。
さらに、過去にどんな人間を殺したかわかる能力らしい。
ユキヤ。大丈夫だよな?
信じてるぞ。
俺は最後に部屋を出た。
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