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外に出ると、ヒカルに指示された通りの配置につく。
それぞれ五メートルほどの間隔を空けて、先頭に卑弥呼。
次にヒカル、シャルキー。三列目に左からユキヤ、ルイ、空。
最後に俺と天海が後ろを固める。
五メートル間隔なのは、他のメンバーに何かあった時、互いにカバー出来る距離だから。
「行きますわ」
合図は卑弥呼が走り出した瞬間。
卑弥呼は俺達の中で一番レベルが低く、走るスピードも遅い。
だから、俺達は卑弥呼に合わせた速さで走ればいいわけだ。
よく考えられてるな。
敵が襲来し、誰かが布陣から一瞬でも外れる場合は、列を崩してすぐに立て直す。
先頭の卑弥呼が手を掲げると、正面には薄く透明な緑色の膜が立ちはだかる様に張られた。
「よし。行くぞ」
ヒカルの言葉で、全員に戦闘体勢のスイッチが入る。
隣にいる天海が、ノートパソコンのキーボードを叩きながら口を開いた。
「敵のフィールドを完全に把握出来るのは、領土内に入ってからね。こっちで指示するわ」
卑弥呼が後ろを向き、小さく頷く。
俺は爪先に力を入れた。
空は黒い雲で埋め尽くされている。
その雲は見える限りにずっと続いている。
眼前に広がる高い岩山。
この無数の岩山の奥地に、敵の本拠地があるわけだな。
瞬きをした直後、卑弥呼が走り出す。
それに続く、ヒカルとシャルキー。
さらにユキヤ、ルイ、空。
そして、最後に俺と天海が走った。
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