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リリルは、無重力空間にでもいるように宙に浮き始めた。
宙に舞いながら差し出された右手。
掌には命力に加え、再び別の力が働き始める。
直後、逃げ出したロボットの動きがピタリと止まった。
その光景を見て、今度はアダムが口を開く。
「あーあ。逃げ出すにしても、敵が能力を飛散させてくる事を考慮しないと!自由に能力を使わせてたら殺してくださいって言ってるようなもんだぞー」
空飛ぶ絨毯の上で、胡座をかきながら呆れた表情をした。
そこから僅か数秒、動きが止まっていた敵に異変が起こる。
まるで積み木を崩していくかの様な光景。
敵の体には幾つもの切れ目が入り、滑りながら段々とずれていく。
滑らかに崩れていく敵の体。
『あんなにも強力な能力が、こんなに離れた位置からでも使えるのか……』
ばらばらになった敵の身体。
それぞれのパーツが地面に到達する前に、火がつき轟音を奏で爆発を引き起こした。
辺りには、顔が焼けるかと思うほどの熱気が広がる。
宙に舞っていたリリルが、ふわりと地に着地した。
僅かな沈黙。
リリルは俺達に視線を向けてきた。
「あ、ありがとうございます」
俺は自然とお礼の言葉が口から出た。
「運が良かったねー。オリンポスへようこそ。奇妙な組み合わせの諸君」
辺りを覆っていた透明な半球体が弾けた。
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