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リリルが放つ異様な雰囲気。
肌でヒシヒシと感じる重圧感。
あの時と同じ……。
絨毯に乗っていた男も飛び、颯爽と俺達の前に降り立った。
絨毯はひらひらと浮き続ける。
アダムの腰に差してある、宝石を散りばめた様に輝く豪華な短剣が目に止まった。
僅かに湾曲を描き、鞘も柄も金色を基礎に、様々な色に輝く宝石が散りばめられている。
アダムはリリルを見ながら軽快な口調で話した。
「三体か……。思ったより数が減らせたな!“完全装備”じゃなかったのが気になるけど、一人ぐらい捕虜にして連れて帰った方が良かったんじゃないか?」
すぐにリリルが、腕を組みながらアダムに返事をする。
「一人が中級兵、残りの二人は下級兵だろー。連れて帰っても意味がないよー。問題なのは、上級兵達だ。噂の“切り札”が何なのかわかるまでは安心は出来ない」
何を話しているかは理解出来ないが、おそらくアレクサンドロスの事だろう。
燃え続ける街並み。
不意にリリルが俺に視線を向けてきた。
目だけが隠されたリリルの赤い仮面。
口元が緩みニコリと微笑みを浮かべているようだった。
「フィールドはすぐに元に戻るから大丈夫だよー。どうする?私達のチームに遊びに来る?」
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