レッドキングダム

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それから俺達は、差し出された手に、一人一人が握手と自己紹介を交わした後、流れでレッドキングダムへ行くことになった。 車は時速170kmで、荒野を駆け抜ける。 「絨毯は最大三人乗りだから七人は無理なんだ。悪かったな!向こうについたら乗せてやるから」 アダムは車のハンドルを回しながら、残念そうな顔をしている美沙に声をかけた。 街に置いてあった少し大きめな九人は乗れる車を手配し、俺達はレッドキングダムに向かっている。 美沙は魔法の絨毯に乗れることを期待していたが、絨毯には人数制限があるらしく車で行くことになった。 人がいないおかげなのか、アダムの運転は異常なまでに乱暴で、車は大地を駆け抜ける。 凄まじいはやさで流れていく窓の外の景色。 意外なことに窓の外に見える光景は、草原や森林や荒野などの自然が広がっている。 外の景色を眺めている杏奈に、リリルは嬉しそうに言った。 「オリンポス周辺は、実際の世界と地形が大きく異なるんだー。街なんかも中世を意識した物が多いし、何より自然が多いからねー。この周辺で初めてログインしたプレイヤーは、自分の部屋に出ないことも多いから、いきなり外に放り出されるし、それこそ異国に迷いこんだ感じだよー」 そうか。それでこの近くに滞在して、迷ったプレイヤーを仲間にすることが多いのか。
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