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─────渋谷和也─────
レッドキングダムに残って戦争に参加することを決めた俺達は、その後、短い期間ながらもシンバさんに鍛えてもらっていた。
レッドキングダムのナンバー2のリリルさんと、ナンバー3のアダムさんを育てたシンバさん。
教え方はやはり相当厳しかったが、全員が明らかに進歩することが出来た。
ただ、一人。
おじさんを除いて。
おじさんは、自分は教えてもらわなくても大丈夫とかで、毎日レッドキングダムの中をゆうゆうと散歩をしたり買物をしたり、また国の中の人達と話をしたり食事をしたりして友好関係を築いている。
シンバさんが、望んでもいないことを強制させてはいけないと言っていたのもあって、おじさんのことはしばらくそっとしておくことになった。
その他、俺と仁と美沙と杏奈が、稽古をつけてもらっている。
シンバさんの教え方は、全員がばらばらの位置で個別に修行をして、それぞれの元へ順番に回ってきてくれるという形だった。
自分に訪れてくると、シンバさんはアドバイスをくれて新しい課題を与えていく。
その課題を、再び自分の元にシンバさんが訪れてくるまでにこなさなければならない。
そこから、その人物が長けたものを見出だして徹底的に一つの分野を伸ばしていくのがシンバさんのやり方らしい。
俺が与えられた大きな課題は。
“命力”ではなく、“心力”という、もう一つの力を使うことだった。
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