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「夜ですか? いえ。昨日も帰ってきて、夕食をとった後はすぐに寝ました」
仁はアンネさんの言葉に首を傾げる。
「寝ぼけながら彷徨ってたんじゃないか?」
俺が笑いながらそう言うと、仁はそれはないと冷静に否定した。
アンネさんは、そんなやり取りを見ながら独り言の様に呟く。
「おかしいわねー。確かに窓から見た時、仁くんだと思ったんだけどなー。うちの宿舎の前でぼーっとしたように立ってたから何やってるのかしらと思ったんだけど……。私の見間違いかもしれないわね」
ふと美沙に視線を向けると、アンネさんの方を見て真剣な表情をしている。
どうしたんだろ。
杏奈は、コーヒーが入ったマグカップを両手で包みながら口を開いた。
「今日は終わった後、チーム対抗戦が始まった際、私達がどこで何をするべきなのか話し合いましょう」
そうだ。リリルさんとアダムさんからは、参加してくれるなら国の中の子供や女性を守る様に頼まれている。
俺達に何をすべきなのか考えないと。
『君が人を守る立場になるとは思わなかったぞ』
心の中で響き渡る声。光刀は笑っていた。
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